フェアトレード雑貨&レストラン「みんたる」
札幌市北区北14条西3丁目2-19
営業時間:11:45-22:00(日月祝日・休み)
Tel & Fax:011-756-3600
みんたるの1週間(詳しくはカレンダーを見てね
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外部のイベントの紹介です

201037日()

札幌学院大学 公開講演会 ~ 若者の生きづらさと自立・労働を考える ―元引きこもりの若者たちとのかかわりから―

時間 13時00分~15時00分
場所 札幌学院大学C403教室
講師 梶原公子(NPO法人「ニュースタート」講師)入場無料、予約不要。当日直接会場へ。

今回お招きする梶原公子さんは長年にわたって家庭科の高校教員を続けてきた方です。進学校から底辺校まで多様な高校生を見て来られました。その経験に基づいて、若者を煽り立て、夢を追い続けさせ、結果的に「食」をはじめ日常生活のコアの部分を見失わせてしまう「自己実現強制社会」を厳しく批判しています。「自己実現」とはマズローの心理学に由来する概念ですが、日本では階層的・階級的違いを度外視して一般化してしまった点に問題があるのでは、親も教師もさらにはフェミニズムも「自己実現」を思考停止状態で無批判的にいいものだと受け止めてしまってはいないか、こう問題提起しています。
今回は現在、勤務しておられるNPO法人「ニュースタート」という引きこもり対象のフリースクールで教えていて気づいたことを中心に話していただきます。「レンタルお姉さん」で有名な「ニュースタート」ですが、彼女たちもまた生きづらさを抱えた当事者であることなどについて社会学的考察を展開して下さる予定です。 (文責:井上芳保)
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(本企画は科学研究費補助金間接経費による札幌学院大学研究活動活性化事業「若者の生きづらさと自己実現系ワーカホリックに関する労働社会学的研究」の一環。 井上芳保、湯本誠、石井和平、高田洋の四人による共同申請企画。)

■ 報告の概要(梶原さんご本人からのメールより作成)
「ニュースタート」は、引きこもりや不登校、ニートの若者の再出発を支援するNPOで、「レンタルお姉さん」が活躍することで知られている。ここは高卒資格取得のためライネルという学びの場を持っているが、ライネル生は基本的には星嵯国際高校というところで単位をとり、生活科(家庭科)、美術、英会話、職場体験などをライネルで学び、単位取得につなげている。私はこのうちの生活科の授業を昨年4月から1年間担当してきた。生徒は18~28歳までの男性ばかりで、すべて引きこもり経験者だ。
当初私は、引きこもりというのは単なる怠け、やる気のない者、脱落者というように捉えていたが、1年間の授業で彼らと接するなかでこの思いはすっかり打ち破られた。
引きこもっている間「死にたい」と思ったことは1度や2度ではないと,ほとんどの者が言う。つまり、引きこもっている自分に対して「これではいけない、何とかして社会復帰しなければ」という強い社会的圧力や脅迫感にさいなまされ続けてきたと言う。しかし、それでも5年、10年という長きにわたって社会と絶縁し、生きてきた。小学校から引きこもってきた者は当然学校教育というものをあまり受けていない。まったくの孤立状態で生き抜いてきたわけだ。だから、もちろん浮世離れしたところもあるし、世俗とは無縁の感じがする。そしていわゆる学校教育で獲得する「知識」というものが欠落している。例えば日本の終戦の年を知らないとか、三国同盟を知らないとか・・・。
しかし、それだからといって例えばファシズム的考え方がまったくわからないのかといえば、国家に強制される人間の行動を自分の言葉や表現を使って強く批判するのである。こういった場面にいくつも出くわすうちに、学校教育で獲得する知識とその人間が持つ思想、考え方とは必ずしもつながりがあるわけではない、つまり「正しい」知識を得なければ「まともな」「適切な」考えを持つ人間にならないわけではないと思うようになった。反対に一生懸命に詰め込む学校での知識とはいったいどのような意味があり、どのような役目があるのか、問い直したくなった。
また、彼らの引きこもり体験はもちろん生きにくさの体現化でもあるのだが、だからといってそうした若者を引きこもりの場から引き出し、娑婆に戻してあげることが「望ましいやり方」なのかというと、それは疑わしい。引きこもることにはどうも無駄とは言い切れない何かがあるらしいのだ。むしろ引きこもる権利の保障、それも働かない権利というようなものとリンクさせて「無為」とされてきたこの行動を真剣に考える必要性を感じる。
このあたりのことを1年間の参与観察とも言うべき私の個人的な経験から、具体例を示しつつお話できればと思う。
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講師略歴:(かじわら・きみこ)静岡県出身。家庭科教員として高校に20年余り勤務。その後、立教大学大学院にて社会学修士、聖徳大学大学院にて栄養学博士、管理栄養士資格を取得。昨今の「食と栄養」に関わる諸現象、ことに若者の食の実態について、社会学的見地から調査、研究を行っている。現在、日本社会臨床学会運営委員。著書に『自己実現シンドローム――蝕まれる若者の食と健康』(長崎出版、2008年)、論文に「若者の性意識は変化している――性教育にみる性的リベラリズムのアポリア」井上芳保編『セックスという迷路――セクシュアリティ文化の社会学』(長崎出版、2008年)所収など。
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連絡先:〒069-8555 江別市文京台11札幌学院大学社会情報学部 電話011-386-8111 井上芳保研究室(内線5107)inoue@sgu.ac.jp http://trpcr955.web.officelive.com /default.htmに関連シンポ情報掲載。
フェアトレード雑貨&レストラン「みんたる」 札幌市北区北14条西3丁目2-19 営業時間:11:45-22:00(日月祝日・休み) Tel & Fax:011-756-3600